三度目の正直

「抑うつ状態ですね」と医師に診断されて早くも1年と数か月が経った。現在入社後2度目の休職中。人生の長期休暇を再延長した気分だ。けどそろそろ社会に復帰したい気もして、これを書いている。良い機会なので今までを振り返ってみようと思う。


最初の休職は1年目の11月あたりから3ヶ月ほどだった。

新卒で入社し半年ほど経ったころから在宅を増やしたり、会社を休みがちになった。

会社の上司らに勧められて受診したものの「抑うつ状態って何?」と思った。けど確かに何をするのもしんどい状態だった。

大学卒業前に慌てるように一人暮らしを始めたものの、駅まで徒歩15分以上の物件にしてしまった。毎日「なんでこんなに駅まで遠くしちゃったのかな」と思いながら過ごした。

また自宅のマンションは禁煙なのに、周囲の建物は喫煙可能なようで喫煙者が多かった。隣の建物のベランダでは四六時中誰かが喫煙中だった。窓を開ければタバコの匂いがするため窓をなかなか開けられなかった。

それに、一人の時間が長すぎて慣れなかった。実家暮らしが長すぎたし、何より自室らしき自室が無かった私には「家に帰ると誰も居ない」状態がきっと合わな過ぎたんだと思う。

失敗談を並べ始めたらキリがない。

だけど、自分で選んだ環境だし頑張るしかないと思った。でもダメだった。

抑うつ状態の主な原因はきっと一人暮らしだと思う。けど正確な理由は分からない。

休職が決まって実家に戻ることにした。

幸いにも実家から職場へは通えなくない距離。復職後もそのまま住めばいい、と両親も言ってくれた。「一人で暮らせるもん!!」と勢いよく出ていったくせにたった1年で実家に戻る。正直何かに負けた気がして悔しかった。

「一人で全てこなさなくてはいけない」という強迫観念のようなものから開放された気がした。ありがたいことに両親が居るし、一人で家事を全てする必要もない。毎朝起きて日の光を浴び、散歩に行ったり、家事をしたり……と普通に日常を送れるようになるのに約2か月。リハビリで出社し、徐々に通常勤務に戻すまでに約1ヵ月。と順調に前向きに復職できたのが1回目の休職だった。「1からやり直そう!」くらいの気持ちで、リスタートを切った。


が……この後が良くなかった。

休職前と同じように、あるいはそれ以上に過活動な生活を送ってしまった。ミュージカルや朗読劇など、好きな作品を退勤後や休日に観に行ったり、地方へ日帰りで観劇に行ったり、友人と会う約束を続け様に入れていたり、それらのためにお金を湯水の如く使ってしまったり……と、家に居る時間を少しでも減らしたいかの如く多忙な日々を過ごした。

結果、再び会社を休みがちになってしまった。しかも今回は食事や入浴すら拒否する始末になった。おかげで医師や上司に休職を勧められる状態になってしまった。診断書には「うつ病」と書かれてしまった。

おかげで昨年の11月あたりから再び休職期間に入り、現在に至っている。


ここまで書いてみて、反省していることがある。「休む」という言葉が私の辞書には載っていないのではないか、と。また実家を出た理由が「自分の空間と時間が欲しい」だったこともすっかり忘れていた。

ただ、何もしないというのもなかなかに難しい。「休む」って何なのか。二度目の休職あたりから、あらゆる活動を極力辞めてみた。

実はkikusukuも辞めたことの一つだったりする。月1本以上記事を書きたいと思い、kikusukuメンバーでのイベントや企画にも積極的に参加しようとしていた。そのせいか「関わらせてもらっている以上、何かし続けなければいけないのではないか」と思い最初は罪悪感が凄まじかった。

特に辞めて大きかったのはSNSの更新。最初は「自分の存在感が薄れてしまうのではないか」「誰からも連絡が来なくなるのではないか」と不安になった。

けどしばらくしたら「生きてる?」と心配して連絡をくれる友人がいた。本当にありがたかった。

今振り返ると「何かしらの成果や私らしさを目に見えて残す」ことにこだわり過ぎていたのかもしれない。何かしないと人に認めてもらえないとでも思っていたんだろうか。自己顕示欲が強すぎると言うか、自己主張が激しいと言うか、厄介な性格をしているんだと思う。趣味とかプライベートではなく、仕事でも成果を出してくれよ……なんて今更ながら思ってしまう。

更に、実家で過ごすうえで親に気を遣うことを極力辞めた。特に専業主婦の母は毎日家に居る。「家事を手伝わなきゃ」「話し相手にならなきゃ」と家に居る以上母のためにも何かしらしなくてはいけない、と思ってしまった。しかしながら臨床心理士によるカウンセリングで、「休職期間というのは休む期間なんですよ?休んで下さいね」と度々言われてしまった。おかげで最近はようやく開き直ってのんびり過ごせていると思う。


さて、じゃあ今後はどうするのか。「二度あることは三度ある」ではなく「三度目の正直」にしたい。不器用でも足掻いていけるかな。復職までの間、のんびりするのはもちろん、復職後ものんびり生きた方がいいのかもしれない。やっとそう思えた今日この頃なんだなぁ……

捺稀

捺稀(なつき)と申します。親から授かりし本名です。
好奇心の赴くままに生きているその辺の会社員です。映像身体学部ではなく、INIAD(東洋大学情報連携学部)出身です。
kikusukuを通じて、好きなもの・こと・人の繋がりを広げていけたら良いなと思っています。よろしくお願いします!

-new post-

gallery
『くしゃみのふつうの大冒険』#05New!!
column
11/3の日記
column
2024年11月3日の日記
column
2024/11/3
column
「映像身体学を実践するvol.1」コラボレーション企画!
gallery
『くしゃみのふつうの大冒険』#04

Follow me!!

↓この記事をシェア↓

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください