ともに生きる__ミワ
人生なかなか上手くいかない。
憧れの先輩から「お芝居続けなよ!」と言われ、とても嬉しかった。
意気揚々とオーディションを受けた数ヶ月。
結果は、連敗。
惨敗だ。
舞台は、芝居は、わたしの人生なのに。
「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、私はさ私とは別れられないんだよね、一生。いいなあツナキ、私と別れられて」
ー映画『生きてるだけで、愛』より
わたしの好きな台詞。
そういえばわたし、生まれてから一度も上手く生きられた試しがない。
水面で浅い息継ぎを繰り返している。
わたしは、わたしのことが好きだし、一番かわいいし、でも、同じくらいわたしが憎いよ。
上手く生きられない、欠陥だらけのわたし。
ちゃんと、俳優になりたいのに、話すよりも書く方が饒舌とか。
はじめまして、より、二度目ましての方が苦手とか。
出来ないくせに完璧主義とか。
歌詞覚えるのが壊滅的に苦手とか。
上手く歩けなくて、雨の日は背中側が全部濡れてるとか、右足だけ靴の底が早く減るとか、すぐに転けるとか。
すぐ「知ってる!」って言っちゃうとか。
すぐ「ごめん!」って謝っちゃうとか。
面白くなくても反射的に笑っちゃうとか。
好きなのに飼ったことがないから、犬の触り方が分からないとか。
部屋の片付けが、苦手というレベルを超した出来なさとか。
お菓子を食事にしちゃうとか、いつも食べたいものが分からないとか。
レシピ見てるのに全然違う料理が出来ちゃうとか、いつも味付け忘れちゃうとか。
暗闇や夜が怖いとか。
手に入れたものは全部手放したくないとか。
好きなのに付き合えないとか。
こどもっぽい独占欲とか、あの子のイチバンになりたいとか。
特別なおんなの子、になりたいとか。
ずっと、誰かに認められたい、とか。
一生この不完全なわたしを抱えて生きていかなきゃいけない。
いいなぁ、みんな。わたしと別れられて。
わたし、と共に生きる
kikusukuライターのミワです。
お芝居と喫茶店が好きな、ハスキーボイスの舞台人。
そこそこのまともさと、たまの異常さを買われて、東のボルゾイという劇団にいます。
岡崎京子さんと吉澤嘉代子さんの描く“特別なおんなの子”になりたい。