客席から届けられる光があるとしたら

特集テーマ「ごほうび」関連企画!
ライターにとっての「ごほうび」それは……
ズバリ、自分が書いた記事にリアクションをもらうこと!

そこで、ライターからライターへ、記事の感想や、記事を踏まえて執筆した書き下ろし記事をリレーしてもらう企画をお届けします。

今回のリアクションは【鹿の子】→【こんぶ】へ!


舞台に立つ人と観客が「スター」「ファン」と呼ばれていた時代。
ふと振り返れば、私たちはそこから随分と遠い所に来たなと思う。

「推し」との距離感

双眼鏡を覗いた先に見える、輝く推しの姿。私にはこの距離感が心地良い。

「ファン」が固定の名を失うのと同時に、
「スター」もその名の通り”頂上”という定位置を失い、
主体である観客の能動的な営みの矛先として「推し」と呼ばれるようになった。

今、私たちはどんな客席に座るときもその「推し」との距離感を問われるようになっている。

こんぶさんの文章のこの部分、
思いあたる節があり天を仰いでしまった人も多いのではないだろうか。

最初は舞台に立っている人のことを何も知らない状態から、
なんてことはないきっかけで作品に触れ、興味を持ち、
ただただもっと知りたい一心でその人のことを追っていたはずなのに、
気が付けば足元に散らばった自我と選択肢の山を前にして身動きが取れなくなってしまう。

でもそんな堂々巡りを一瞬にして打ち砕いてくれる、思わぬ光明があるとしたら......

誰でもあらゆる情報に簡単に手を伸ばして、
どこまでも能動的な主体のような顔を出来てしまう今、
誰かの表現に身を委ねることは勇気すら伴うようになった。

そんな揺らぎを打ち砕くくらい力強い表現に出会うことが出来たら、
そしてそこまでリスペクト出来る表現者に出会えたとしたら、
それはどんなに幸せなことだろう。

実は先日、前に記事にも書いたことのある大好きなバンドのライブに足を運んだ。

奇遇なことにその会場はちょうど10年前、
私が初めてそのバンドのライブに足を運んだ時と同じ会場で、
バンドとしてもそのステージに立つのは10年ぶりとのこと。

あの時と同じように最寄りから電車に乗って駅を抜け、
会場に入ってアリーナを望む客席に腰かけると、
目の前に当時の自分を見たような気分になった。
付き添いの母親のことも忘れて、
目の前に本人たちが登場した瞬間から崩れ落ちるように泣き始め、
喉を締め上げるように叫んでいる。

推しに心を動かされ、多くの感情と出逢うこと。

その幸せは、どれだけ時間が経ってもこうして立ち返ることが出来る。

きっとそれを全身で享受することが、
目の前の表現者への精一杯のおかえしになるのだろうと、
こんぶさんの文章を読んでいると心から思うのだ。

私たちのすべての「推し」に、いつまでも光あれ!


鹿の子

かのこと言います。最近は夢中になって人の写真を撮っています。音楽やチョコミントアイスが好きな人、ぼーっとしてるとなんか考え事をしちゃう人は気が合うかもしれません。そうでない方とも、仲良くなれたらとても嬉しいです。よろしくお願いします。

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