朝ドラ『らんまん』第17週を読み解く！万太郎(演：神木隆之介)＝ムジナモ？【食虫植物が咲かせる奇跡の花】

第１７週『ムジナモ』(７月２４日~２８日放送)

第１７週レビュー　〜転落のその先へ〜

ムジナモの花は、一年に数時間しか咲かないのだという。

植物に愛された人・槙野万太郎(演：神木隆之介)は、ムジナモが花を咲かせていることに気が付く。新たな発見に浮き足立つ万太郎を見つめるのは、田邊教授(演：要潤)。トガクシソウの花を追い求め続け、ついに出会うことは叶わなかった、その人だ。

万太郎が池で発見し、田邊教授がその正体を突き止めたムジナモは、食虫植物に分類される。他の生命を食べることで、自らが生きるためのエネルギーを獲得している植物だ。万太郎は、田邊教授から許可をもらいムジナモの研究に没頭する。大学の所蔵している文献の力を借り、身重である寿恵子(演：浜辺美波)に支えられながら。

「友達だから言うんじゃないよ。こんな植物画を描けるの槙野万太郎だけだよ！」(藤丸)

万太郎は、植物を細かく正確に捉える眼と画力を持っている。山や水辺、道、それぞれの場所で生きている植物たちに気が付き、まだ見ぬ植物と出会える力も持っている。愛する植物たちを世界に発表し、その名や性質を多くの人に知ってもらうために、朝から晩まで研究に没頭する力もある。

「わし感謝しちゅうき。うんと感謝しちゅう」(万太郎)

万太郎にとって田邊教授への恩を表す方法は、研究で成果を出し、植物学の発展に寄与すること。万太郎はいつだって植物に真っ直ぐで、そこに名誉欲や忖度はない。例えるならそれは、親に褒められることを期待して勉強を頑張る子どものような純粋さだ。

しかし、誰もが万太郎のように真っ直ぐ突き進んでいけるわけではない。回り道を強いられている人間にとって、万太郎の存在は時に眩しすぎるだろう。

「君は……自分の手柄だけを誇っているんだな」(田邊)

万太郎は、田邊教授から植物学教室への出入りを禁じられてしまう。田邊教授にとって、万太郎はムジナモのような存在だったのかもしれない。自分が築き上げた東京大学・植物学教室の知識（文献）・人望を、自分が欲して止まない植物の大発見を、全て吸い取っていく。

留学を支援してもらった恩から政府の仕事を断れず、植物の研究に集中し切れない田邊教授。大学への出入りを許可してもらった恩を胸に、植物の研究に没頭する万太郎。

感謝とは、どうすれば伝わるものだろうか。「恩」とは、何を持って返すことができるものだろうか。

二人の見ている世界はあまりにも違う。

「楽しけりゃ楽しいだけ どっか怖くなるからさ。いいことがあった分よくねえことも起きるぞって」(福治)

万太郎がムジナモを発見したのは、勢いよく池に落下した時のことだった。一見マイナスに思えることでも、それが幸運に転じることもある。

万太郎と田邊教授のこの先には何が訪れるだろうか。

「よくねえこと」が起きた分、次はとびきりの「いいこと」が待っているかもしれない。

レビューあと書き

万太郎が植物学教室から追い出されるという、苦い締めくくりとなった第17週。牛鍋屋さんで波多野(演:前原滉)＆藤丸(演：前原瑞樹)とわちゃわちゃしていた月曜日が遠い昔のようです……。

万太郎は恵まれているけれど、彼なりの苦労や半端でない努力があり、周りが見えずに突っ走るそのエネルギーで周りから愛されてきたのでもあり。
田邊教授の辿ってきた苦労と、万太郎が進んできた道は、あまりに違いすぎる。でも、二人が追い求めているものがとても近いところにあるから、出会わずにはいられなかった二人でもあります。どこか合わせ鏡のようでもありますよね。

寿恵子のお腹には二人目もいて、お金もなくて、これから一体どうなってしまうのか心配ですが、万太郎は「笑っていないと力が出ない」by竹雄！！！こんな時こそ、寿恵子と二人で力を合わせて、笑いながら窮地を抜け出していけますように！

そして、いつか田邊教授と笑い合える日が来ますように。

細かすぎる！？「らんまん」なときめきポイント

・「恩があるからこそ」と万太郎を植物絵師に推薦した野宮(演：亀田佳明)さんの誠意や、留学を決心した徳永助教授(演：田中哲司)の熱意が個人的ハイライトでした！！！

・引越しの手伝いに駆り出される長屋のみなさ〜ん！仲良しだね！かわいいね！

・長屋のみんなと植物採集に来たかった万太郎＆それを受け流す長屋のみなさん（仲良しだね！かわいいね！）

・お久しぶりの登場、綾(演：佐久間由衣)＆竹雄(演：志尊淳)！少し落ち着いた風貌の二人、竹雄がすっかり酒屋主人の風格を持っているように見えてハッとしました。新しい酒造り、成功しますように！

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