公園のあるベンチにて
随分近くを見すぎていたようだ。
いつもの公園のお気に入りの場所でぼーっとしている。
人で混み合っている場所は好きではないけれど、人の存在が感じられる場所はたぶん好きだ。
生き物を観察する親子がいた。
犬の散歩をする人たちがいた。
ランニングウェアを着て走っている人がいた。
ただどこかへ向かう途中の人がいた。
お昼ごはんを食べている人がいる。
デッサンをしている人がいる。
ぼーっとしている人がいる。
あちこちから話し声、足音、タイヤの転がる音、鳥のさえずり。
ここにわたしがいる。たくさんの中のひとり。
きらきらとした光に心躍らせる。
ほんの少し遠くを眺めて、ただここで息しているだけの自分に気がつけたとき、頭の中で絡まった糸が幻になる。