ひなたの「はじめに」

ゆっくりとしか、歩けなくなる時があります。
それは本当にゆっくりと、一歩ずつ、その足の動きを、重さを、感じ取りながら。
もうちょっと早く歩きたいなあと思っても、身体が言うことを聞かないんです。

それは例えば

バイトでくったくたになった夜

大学で朝から晩まで勉強した帰り道

素敵な演劇に出会って、劇場を後にした時。

私の身体はまるで私じゃないみたいな顔をして、のそのそと歩くのです。

person foot prints on sands photo
Photo by Min An on Pexels.com

あ、申し遅れました。kikusuku編集長のひなたと言います。

私、「歩く」という行為が苦手です。歩き方に変なクセがあるらしく、いわゆる“理想”の“正しい”歩き方、というものとは程遠いんですって。内股で、すり足で。おかげで毎日足はパンパンです。

でもね、歩くことそれ自体は好きなんです。特に知らない街を歩くのなんてもうウキウキしちゃいます。カメラ片手に歩くのはもっと最高。それまで見えていなかった、気づきもしなかった世界に出会うことができるから。
最近なんとか自分の歩き方を変えたいなあと思って、YouTubeの解説動画を見てみたり、まとめ記事を読んでみたりしています。でも結局自分の歩き方って、外側から見ることができなくて。自分じゃ自分の姿を直に見ることはできない。

だからよく分からないんです。「これで合ってるのかな?」と思いながら歩いてみるのだけれど、誰も答え合わせはしてくれない。

あれ、私は何を目指して歩き方を変えようとしているのでしょう。

そもそも私に「正しい歩き方」をすることは可能なんだろうか。

え、「正しい歩き方」って、なんだろう。

black and white photo of people walking
Photo by Stanislav Kondratiev on Pexels.com

分からないことだらけでも
「歩く」という行為は、常に私につきまとってきます。
私は、歩くことから逃れられない。

だから、考えてみるんです。考えて、試して、ああでもないこうでもないと思いながら、時に考えるのも止めて、でもやっぱり気になって、
そんなことをしていると

ふと

自分の身体の動きを敏感に感じている自分に気付きます。

なんとなく、私の身体が、私に教えてくれるような気がしてくるんです。
「今、ここの筋肉を使えてるよ」「気を抜いたらすぐ元に戻っちゃうね」

もしかすると、私の身体は全部分かっているのかもしれません。私に合った歩き方も、筋肉の使い方も、力の抜き方も。
でも、私はそれをなかなか掴み切れなくて
だからやっぱり、歩くのが下手なのだと思います。

それでも私は、歩くのが好きです。

好きになる理由より、嫌いになる理由の方がよっぽど多いのだろうけど

私は、歩くのが好きです。

a person wearing a white shoes while stepping on wet road
Photo by cottonbro on Pexels.com

だから、へたっぴはへたっぴなりに、歩いていようと思うのです。下手だろうが上手だろうが、歩くことはできるから。
へたっぴにはへたっぴなりの、歩き方がある。

私の歩き方がどう変わっていくのか、あるいは変わっていかないのか、
どちらでもいい、ただ、

向き合って、考えて、試して、休んで、
その繰り返しを、ちょっとずつ、積み重ねていこうと思っています。

いつか後ろを振り返った時、そこにはどんな足跡があるのでしょうか。

どんな道が伸びていて、どんな景色が広がっているのでしょうか。

分からないから、わくわくしますね。



さて、こんな編集長ですが、kikusukuという場所と共に歩んでみようと思います。

どうぞ、よろしくお願いします。


ひなた




この記事を書いたのは・・・

ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

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