ある雨降りのゆったりとした時間
雨が降った日の夕方のこと。
わたしは家の塀の前に溜まった雨水が気になってしまった。
ここの雨水を一掃してやろうと思ったのだろう、近くの側溝までなんべんも傘の先を滑らせた。
どうやら気づいた頃には行ったり来たりを小1時間やっていたらしい。
わたしは何を見ていたのか。
一向に無くならない雨水にやめ時を失ってしまったのか。揺れる水を見つめて楽しんでいたら時間が経ってしまったのか。
そんなことは忘れてしまったが、このあとその滑稽な様子が母に見られていたことが発覚した、ということは覚えている。