2022年に観たベスト作品まとめ!

kikusukuメンバーが「2022年に触れた作品の中で、ベストを選ぶなら?」
様々なジャンルの作品が集まりました!
「この作品面白かったよね!」「これ来年観てみよう!」など、自由にお楽しみください!

映画 -movies-

まえだし

『Tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!』(2021年・Netflixにて配信中)

〈コメント〉
これを観たら何かを頑張りたくなると思います。ミュージカル映画で素敵な歌が多く出てくるので繰り返し観たくなる映画です。
最高だなぁと思う撮り方やシーンが多くあるのですが、それらを置いといてこの映画の感想を一言でまとめるとすれば、「没入感!」です。
私はミュージカルを作り上げることに関わったこともなければ、作品で描かれている1990年代のNYを知りません。
だけど、この作品を観ているといつの間にか当事者のような気持ちになっていたり、主人公達の「もどかしさ」に何度も共感してしまいます。
1人で観てウッと泣いちゃいましたねぇ……。

鹿の子

『さかなのこ』(2022年・各種配信サイトにてレンタル可)

〈コメント〉
中学校の卒業遠足の時、他の代の先輩たちはディズニーランドなのに、私たちだけ行き先を某水族館テーマパークにされ、先生たちへの反感で暴動が起きかけたことがありました。あまり期待しないで足を運んだその場所で、私が生まれて初めて目にした芸能人が、さかなクンです。同じく遠足で来たであろう幼稚園児たちをどんどん魚の虜にしていく姿の凄まじさたるや。
のんさんがさかなクン役を演じる映画が公開されると聞いて期待特大だったのに、それが全く裏切られないままエンドロールになっていました。
「好きなことで生きていく」選択をして報われた人、報われなかった人。そして報われたいと思う人。すべての人の背中に、大きくて暖かい手を添えてくれる作品でした。

菅藤絢乃

『ラーゲリより愛を込めて』(2022年・劇場公開中)

〈コメント〉
戦争映画と敬遠することなかれ……描かれるのは、人間が人間であることの尊厳を守り抜こうとした人々の、圧倒的な生の物語です。第二次世界大戦終戦後のシベリア抑留という実話を元にした作品として辛く悲しく厳しい描写の数々は避けて通れないけれど、映画館を出た時の私の中にどっしりと根を張っていたのは、何かから解き放たれたような力強い光そのものでした。哀しさと清々しさを載せて風が吹き抜けていくような感覚、この唯一無二の鑑賞体験を、私は決して忘れることはないでしょう。どうか、皆さんそれぞれのタイミングで、良い出会いとなりますよう!

あだち

『マイスモールランド』(2022年・各種配信サイトにてレンタル可)

〈コメント〉
理不尽な現実を強いられる人々を優しく包み込み、祈りを捧げてくれるような、そんな作品。川和田監督は『万引き家族』の是枝監督の弟子であり、是枝作品とどこか通ずるところがあります。日本に難民として逃げてきたクルド人難民の家族の物語で、難民に対する処遇が厳しい日本で彼らは不安定な生活を強いられ、苦境に立たされていきます。このような現実が日本で起こっていているということは、観ている観客の側をいい意味で傷つけてきます。しかし、単に観るのが億劫になるような社会派の辛い映画ではなくて、高校生の主人公が自らのアイデンティティに悩んだり、甘酸っぱい恋愛をしたりと青春映画としても楽しめました!僕たちの映身の同期にこの作品にスタッフとして参加した人がいるのも誇らしいです!


『カモン カモン』(2021年・各種配信サイトにてレンタル可)

〈コメント〉
「世界にあるありふれたものを永遠として記録できるのはクールだろ?」

ラジオジャーナリストの仕事をしている独り身の中年男が9歳の甥っ子を数日間預かる中で心の交流が生まれていくという、とてもとても小さな話。ストーリーもシンプルながら、映像もミニマム。美しい白黒の映像で、しかも余計なものを映さずに、二人の登場人物だけを、ただただ丁寧に撮影しています。このようなシンプルな構成のおかげで、二人の会話の中にあらわれる、わずかな表情の違いや感情の機微などが際立ちます。純度の高い人と人とのコミュニケーションについての映画だと思いました!

演劇(ストレートプレイほか)-plays-

ひなた

『導かれるように間違う』(彩の国さいたま芸術劇場ほかで上演

〈コメント〉
演劇×ダンスのジャンルクロス公演。言葉×身体の相乗効果が凄まじく、今年と言わず今まで観た中で指折りの作品でした。
ずば抜けた身体表現の数々、舞台上の身体一つ一つから発せられるエネルギーにただただ圧倒されながら、徐々に”物語”が全貌を現し始める。舞台上にはずっと言葉の裏にあるもの=言葉にならない”何か”が色濃く蠢いていたようでした。一部上演中止となってしまったのが本当に惜しいので、是非とも再演してほしい!

桜田実和

『ザ・ウェルキン』(Bunkamuraシアターコクーンほかで上演)

〈コメント〉
舞台となっているのは、1759年のイギリスの田舎町。殺人罪で絞首刑を宣告された少女・サリーですが、妊娠を主張します。妊婦は死刑を免れるのです。そこで、真偽を確かめるために妊娠経験のある女性12人が陪審員として集められます……。
劇場で戯曲を買い、今でも(上演は夏頃)家で勝手に1人上演をしている作品。大原櫻子さんと吉田羊さんのパワフルなお芝居を生で観られた体験は、私の人生においての宝物になりました。シスターフッドとは何か、女性性についてとても意識させられます。


果報プロデュース『あゆみ』(すみだパークシアター倉にて上演)

〈コメント〉
「ままごと」の作品が大好きなんですよね、本当に。
1人の女性の生涯が描かれています。
生きていていいんだよと背中を押された気持ちになって、じんわり涙が出てくるような、とてもあたたかい作品。
2人で歩んでいた道が1つに交わったり、別れてしまってまた1つになったり、新たな道が開けたり。照明で表現されていたのですが、実際に生きていてもそれくらい目に見えてくれよ〜!って思っちゃう。
芝居はもちろんのこと、シンプルな舞台セットも、小道具使いも、あらゆるこだわりがとても良くって、今年イチほかほかしました。

ミュージカル -musicals-

ひなた

『ヘアスプレー』(東京建物BrillaHallほかで上演

〈コメント〉
とにかくハッピーで前向きなエネルギーが大爆発!この作品を観たら、難しいことを考えなくとも「みんなでハッピーに過ごそうよ!」と全身で感じられる。「人種差別、いや、ありとあらゆる差別をするなんて馬鹿らしい!だって、みんなで一緒に踊った方が楽しいよ!一緒に歌って踊って笑うのに、何の違いがあるの?」と。
一見単純すぎるようですが、まっすぐな気持ちを呼び起こしてくれるような力を持っている作品だと思います。

・花村

花村

『エリザベート』(帝国劇場ほかで上演)

〈コメント〉
2020年、初めて日本で上演されてから20年という節目の年にコロナの影響で全公演中止となり、それから2年の時を経て戻ってきた作品。さらに、私が観に行った回は関係者のコロナ陽性により上演が数日間中止された直後の、再開初日でした。そのこともあってか、役者の皆さんのものすごい熱量が客席にも伝わってきて、心が震えました。

「私の人生は私だけのもの」

自分の信念を貫き、決して挫けることなく生涯を生き抜いたエリザベートは、私にとって憧れの存在です。

ドラマ -dramas-

菅藤絢乃

『二十五、二十一』(韓国ドラマ/2022年・Netflixにて配信中)

1998年、時代に夢を奪われた若きふたり──フェンシング選手の少女ナ・ヒドと、貸本屋アルバイトの青年ペク・イジンが出会う。仲間たちと共に真っ直ぐ駆け抜けた痛みと煌めき!まぁまぁ、とりあえず2話まで観てみてください、その先はきっともう、止められないから。香り立つ陽光と若葉の美しさを永遠の中にぎゅっと閉じ込めた今作は、紛れもなく、私の인생 드라마(人生ドラマ)のひとつです。

書籍 -books-

マモル

『龍馬が行く』司馬遼太郎(小説)

〈コメント〉

物凄い長いし、人物多いし結構大変だけど、一回相関図がわかればストーリーの推進力でグッと読み進めてしまう。誰しもが坂本龍馬という男に惹かれる。それは仕事ができるからというところだけではなく、しっかりとしたビジョンや流儀を持っており、更に愛嬌に溢れているからだ。そして誰かが手を差し伸べなければ今にも崩れそうになるバランスを保ち続けているからだ。どんな人間になりたいかと聞かれた時自分はいつも星野源と答えていたけど、来年からは坂本龍馬になりたいと答えることにします。

菅藤絢乃

『流浪の月』凪良ゆう(小説)

〈コメント〉
この世界に私を繋ぎ止めてくれる、命綱みたいな本のひとつ。読み終わった後に日記に書いた、「私のことは、この本だけが知っていてくれればそれでいい」。


『違国日記』ヤマシタトモコ(漫画)

〈コメント〉
両親を亡くした女子中学生の朝(15歳)と、朝の叔母で少女小説家の槙生(35歳)の、不器用で素直な共同生活譚。私たちはどうやったってひとりだけれど、「ひとり」”と”「ひとり」が共にいることの痛みとやさしさが宝物のように描かれる今作があれば、たぶんきっと、生きていける。白さが美しい絵の質感と、モノローグが編み出す繊細さ……来年も今作と共に!

ましろ

『栞と嘘の季節』米澤穂信(小説)

〈コメント〉
米澤穂信さんの作品に出てくる高校生たちが私はとても好きです。なんというか、いい意味で淡白。信頼しているけれど、信じすぎていない…みたいな。うまく言語化できなくてもどかしい。

この本の登場人物たちも、目指しているところは一緒でも、目的が違っている。目的のためなら嘘もつくけれど、それは悪意のない、大切にしたい誰かのための嘘。その嘘からそれぞれの性格や想いが見えてきて、読み終わる頃には登場人物たちのことがもっともっと好きになります。

タイトルの通り、嘘と伏線だらけの物語なのに、読みづらさが全く無いのはなぜなのだろうか……


あなたの「2022年に観たベスト作品」は何ですか?ぜひコメント欄にて教えてください!
2023年も、たくさんの素敵な作品と出会えますよう!

kikusuku編集部

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください