神木隆之介×浜辺美波 朝ドラ『らんまん』感想レビュー:峰屋のピンチの裏で万太郎は?
第9週『ヒルムシロ』(5月29日~6月2日放送)
ときめきポイントde振り返る1週間!
◆寿恵子(演:浜辺美波)のドレス姿、とっても素敵〜!!!
◆クララ先生(演:アナンダ・ジェイコブズ)のダンスも歌も美しかったですね……。寿恵子が手を取りたくなる気持ちも分かります。
◆演奏会にてバッタリ遭遇した万太郎(演:神木隆之介)と寿恵子。二人でアイコンタクトなんて、既に息ぴったりじゃないですか〜!
◆寿恵子に「きれいじゃ!」と繰り返す万太郎。ストレートな言葉に胸キュン!
◆「ああ!痛い!足痛い!」と大袈裟な芝居で万太郎を庇う寿恵子がキュート!
◆恋煩いに苦しむ万太郎、レアなものを観察している気分になりました(笑)
◆恋バナに花を咲かせる長屋の女性陣(with 万太郎)。自分のドロドロした気持ちも含め、その恋の熱を打ち明けてくれる様子に、万太郎へのあたたかさを感じました。ゆう(演:山谷花純)、えい(演:成海璃子)の新たな一面が垣間見えましたね!
◆草花へのときめきを「恋」と表現する万太郎!
◆まつ(演:牧瀬里穂)らに寿恵子への気持ちを伝える万太郎。目や表情の輝きが印象的でした。やはり覚悟を決めた後の万太郎は潔い!!!
◆今週の万太郎かしこい(人たらし)ポイント:田邊教授(演:要潤)の趣味である音楽から突破口を見出す。雑誌創刊の話を提案するタイミング。大窪(演:今野浩喜)への懐の入り方!
第9週レビュー 〜変わりゆく時代の中で〜
華やかなドレス・美しい歌・ワイン・煌びやかな建物・薔薇……。
万太郎と寿恵子が足を踏み入れた西洋文化の世界は、そのどこを取っても輝かしい。そこで活躍を期待されるのは男性だけではない。女性がダンスを踊り、歌を歌い、女学校ができようとしている。まさに時代の最先端、新たな日本がそこで始まっているのだ。
まるで異世界のような場所に最初こそ戸惑っていた寿恵子だが、クララ先生の導きもあり、ドレスを身に纏う。一方の万太郎も、西洋文化を糸口に田邊教授から植物学雑誌創刊の許しを得る。新しい世界は、二人を次なるステップへと運んでくれるのだろうか。
しかし、新しさの影には必ず「古きもの」がある。変化の影には必ず「犠牲」がある。
「ほいたらもう……酒を寝かせるがも古酒も造れんがじゃのう……」(綾)
財政難の政府は酒蔵に目を付け、理不尽なやり方で税金を徴収し始めていた。煌びやかな文明開花の裏で、峰屋をはじめとする酒蔵が苦しんでいたのだ。更にワインなど西洋酒の存在が、今後ますます日本酒業界を圧迫していくだろう。
新しい時代の波には、常に光と影が付き纏っているのだ。
綾(演:佐久間由衣)は現状をどうにか打破しようとタキ(演:松坂慶子)に相談するが、タキは少しずつ老いていた。「峰屋を守る」という責務や「孫を育てる」という決意がタキを駆り立てていたのだろう。万太郎が独り立ちし、綾に峰屋のバトンを渡したことで、タキも次のステップへ進んだのだ。万太郎からの手紙を読むタキは、いつにも増して朗らかで幸せそうに見える。
時代も人も、変わらないものなどない。
「私はただ 殿様だろうが金持ちだろうが、男にすがって生きていくような娘にだけはしたくないんだよ」(まつ)
変わりゆく時代の中で「女の幸せ」と言われるものも変わってゆく。
その中身は変わっても、母が子の幸せを願う気持ちは変わらないのかもしれない。タキが万太郎、綾、そしてヒサ(演:広末涼子)の幸せを願っていたように。
より正確に言うならば、それは「人が自分にとって本当に大切な存在の幸せを願う気持ち」そのものだろう。竹雄(演:志尊淳)が万太郎の幸せを願うこと、万太郎が峰屋の人々の幸せを願うこと……。時代や人によって形は違えど、そこには“愛の花”があるのではないか。
新しい時代の中でも変わらないもの。
それは決して明るい側面ばかりではない。
例えば、西洋文化を取り入れる中で女性の活躍が期待されているように見えるが、女学校の校長候補は男性であり、寿恵子は高藤(演:伊礼彼方)の妾候補のように見て取れる。例え妾候補ではなかったとしても「華」として扱われていることは事実であろう。
そうして「変わっていくもの」「簡単には変わらないもの」のせめぎ合いが明治の世を作っていく。激動の時代において、万太郎や寿恵子に取って「決して変わらない」大切なものは一体何だろうか。
万太郎が寿恵子に“愛の花”を渡すその日を、楽しみに待ちたい。
kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。