神社合祀令に対する万太郎(神木隆之介)の決断は…?それぞれの金色の道、その先とはーー朝ドラ『らんまん』第24週レビュー

第24週『ツチトリモチ』(9月11日~15日放送)

第24週レビュー 〜変わってゆくものの中で〜

時代の変化は町を変え、人々の暮らしも変えていく。

寿恵子(演:浜辺美波)の店「山桃」がある渋谷は、鉄道が通り、陸軍の施設が立ち、寂れた田舎町から賑わう活気付いた町へと変貌した。

各地の神社は神社合祀令によって合併され、森は伐採されていく。大学は満州の調査に力を入れる。

町が活気付くことを喜ぶ者、新たな活躍の場にありつける者、失われていくものに心を痛める者・憤る者。

変わりゆく時代の中で、その人の信念が浮かび上がってくる。

「この図鑑は……愛されるじゃろうか」(万太郎)

万太郎(演:神木隆之介)はと言えば、図鑑の完成を見据えた今、迷いの中にあった。

自分のやってきたことは本当に世の中に受け入れてもらえるのか。この図鑑は、日本中に広く届いて根付くものになるのか。

今の万太郎は、ただの「植物バカ」ではない。

東京帝國大学に属する助手であり、給金をもらっている。
寿恵子がいて、子どもたちがいて、3代目助手の虎鉄(演:濱田龍臣)がいて、植物を送ってくれる全国の友がいる。

植物への愛と共に孤独の中にいた頃の万太郎とは、抱えているものの重たさが随分と変わったのだ。

「身分は、大事か?わしは信用したがじゃ。たとえ、おまんが誰じゃち……その目だけで十分じゃったき」(早川逸馬)

万太郎の迷いを断ち切ったのは、早川逸馬(演:宮野真守)。過去の万太郎を知るその人だった。

万太郎の手元にある10万点の植物標本は、彼がたくさんの人の思いと尽力を背負って、地道に歩き続けてきた結晶そのものである。
たっぷりの重量を持ったその結晶は、過去の自分が切り拓き、その道々で出会ってきたもので成っている。

その道の行く先が不安になるのは、結晶につまった人々の想いの強さ故ではないか。

「あ〜……いくつになっても子どもっぽうて。そんでも、金色の道を貫くためながじゃろ?」(竹雄)

抱えるものの重さは、これまで歩んできた人生の重みだ。

万太郎は図鑑発行への志をより強固なものとし、綾(演:佐久間由衣)竹雄(演:志尊淳)、そして藤丸(演:前原瑞樹)は酒造りのため沼津へ。波多野(演:前原滉)は教授として研究の道を進み、寿恵子は「山桃」のおかみとして冒険の旅を続けている。

それぞれが自分の「金色の道」を探し続けて、また一歩を踏み出していく。

「ここにある全てが……証じゃ」(竹雄)

その足跡は道と成り、自分の背中を押してくれているだろう。


ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

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