誕生日はケーキを食べたり人と会う約束をしたりする口実になる日だ
人の誕生日を覚えるのが苦手だ。
誕生日というより、数字全般を覚えるのが苦手。
だから、人の誕生日もなかなか覚えられない。
興味がない、わけじゃない、というかお祝いしたい気持ちは山々だから、申し訳ないなあ〜といつも思っている。
でも「誕生日はお祝いしよう!!!」文化もそこまで好きじゃない。誕生日ってそんなに特別なのかな。他の日と何が違うんだろう。生まれた過去より、生きている今の方が大切じゃないか。
だから、誕生日は口実だと思っている。「久しぶりに会おうよ」って友達に連絡したり、美味しいケーキが食べられたり。
正直、それは誕生日じゃなくてもできることだ。でも誕生日は丁度いい機会になる。
だから、誕生日は口実。
数年前。
上京してきて、初めての誕生日。
今日は自分にご褒美をあげようと思って、都内のデパ地下に寄ってみた。
ケーキ売り場、どのケーキもきらきらしていて、売り場を何周もぐるぐるした。
結局ケーキは買えなかった。
埼玉の最寄りに戻ってきて、少し安心して、いつものスーパーに寄って、板チョコを数枚買い込んで、家の炊飯器でケーキを焼いた。
ケーキは控えめな甘さで、その素朴さが身体に沁みた。
それくらいが、丁度良かった。
自分の誕生日って、嬉しいものなのだろうか。
そんなことを言って、自分が誕生日に誰からもお祝いされないのはきっと寂しい。その癖、人に祝われるのも小っ恥ずかしい。
なぜ恥ずかしいのかって、それは嬉しいからじゃないか。お祝いしてもらえるって、つまりは大なり小なり「あなたが大切だよ」って、その気持ちを渡してもらえるようなものだから。
誕生日そのものに思い入れはないけれど、誕生日に交わされる、人と人の気持ちのやり取り、に加わる美味しいケーキやプレゼントたち、のことは結構、かなり、好きなのかもしれない。
23歳の抱負は、人の誕生日を忘れないことです!
きっとまた気が付いたら誰かの誕生日が過ぎ去ってしまうけれど、そうしたら何でもない日にプレゼントを贈ろう。一緒にケーキを食べよう。美味しいご飯でもいい、並んでどこかをお散歩するのもいい。
誕生日とは「生まれてきてくれて、私と出会ってくれてありがとう」って気持ちを渡す口実になる日だ。
やっぱり小っ恥ずかしくて、どうにも心がムズムズするけれど、まずは。
お誕生日おめでとう、私。
2023.03.20
ひなた