オーバーヒートにアナログを

最近、使い始めて2年ほどになるノートPCが「熱」を帯び始めた。使い始めると背面がすぐ熱くなるのだ。
ソファに腰掛けながら膝の上にPCを乗せて作業することの多い私にとって、この熱さは死活問題である。

そう言えば、心なしか充電が切れるサイクルも短くなっている気がする。寿命にはまだ早いんじゃないか、我がMacちゃんよ。

でも、君の気持ちもよく分かる。

CPUーーつまり、人間で言う“脳みそ”ーーをフル回転させて働くのだ。そりゃ熱くもなるし、充電もどんどん使ってしまうだろう。かく言う私の脳みそも、すぐに熱を持ちオーバーヒートし始める。自分はマルチタスクが得意な方だと思っていたけれど、誰にだってキャパシティーーPCでいうメモリなのか、ギガなのかーーには限界がある。最近、複数の案件を同時進行し続けているということもあり、頭の中がいっぱいいっぱいになりがちなのだ。

「このままだと絶対に何かタスクを忘れる!!!やらかす!!!」

本能的に危機を感じ取った私が取った対処法は、案外単純なものだった。

①メモ帳を用意
②今あるタスクを一つずつ書き出す
③なんとなく優先順位を把握

限りなくアナログ!

不思議なもので、デジタルのリストでは駄目だった。なんとなく、デジタルだと全貌が掴めないというか、身体に入ってこないというか……。

ちなみに、この「アナログTo Doリスト」には①〜③の先、続きがある。

④タスクが完了したら線で消す
⑤全てのタスクが終わったら、その紙をぐちゃぐちゃに丸めて捨てる!もし全部が終わっていなくとも、一日が終わったら丸めて捨てる。(繰り越しのタスクを次の紙に書き写した後で)

物理的に紙を握り潰して捨てることで、自分に重くのしかかっていた「タスク」たちが消えていく爽快感を存分に味わえるのだ。これもまたアナログの良さ。ちなみに、私は不要になった紙の裏をメモ帳にしているので、一切躊躇うことなく紙をグチャグチャにしている。

このアナログなリストアップを始める前は、ただ漠然と「やらなきゃいけないこと」がモクモクと広がり、雨雲のように頭の中を覆い尽くしていた。でも、その雨雲を作り出しているのは他でもない、自分自身の勝手な焦りだったのだと思う。

昔から「やらなきゃ」に追われて生きてきた。

それはもはや一種の強迫観念のようなもので、私は無意識の「〜しなきゃ(must)」に縛られないよう、日々必死の抵抗を続けている。そうしないと、私の頭は遅かれ早かれ大爆発してしまうから。
抵抗の甲斐あって、以前よりは随分と“適当”に過ごせるようになってきたと思う。このリストアップも抵抗手段の一つだし、私はオーバーヒートや充電切れを起こさないように、日々“私専用の取扱説明書”をアップデートし続けているのだろう。

ただ、いつしか「起こさないように」という心がけも「起こしちゃ駄目だ」という重しに変わってしまうかもしれない。
別に触れたらヤケドしてしまうような熱を出したって、うっかり充電が0%になって、突如電源が切れてしまったって良いのだ

その上で。熱すぎるのはやっぱり嫌だから。

適温で、ほどほどで毎日笑っていられるように、
低電力モードを使いこなしながら、程良いタイミングで充電できるように、

そんなせめぎ合いの毎日、オーバーヒートな人生。

ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

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