抱負に代えて

会社を辞めました!

と言うと、老若男女ほとんどの人に「え??笑」と返される。

柔軟な働き方をしてなんぼ!という声が大きくなりつつあるこのご時世でも、新卒の早期離職、とりわけ1年目(正確には9か月目)のそれはまだまだ珍しく、大方の人間の返事をギャルのLINEのようにしてしまうほどの衝撃があるらしい。

周りには「やりたい仕事を見つけた」と経緯を説明している。
でもそんなことを言われたって、私がどうにも甘ったれた奴に感じられてちょっとイライラする人もいるかもしれない。同じところでずっと仕事を頑張ってる人なら尚更。

だから腹を割って、率直に、自分に分が悪い言い方をしてみる。

私はやりたい仕事を「見つけた」んじゃなくて、ずっとやりたい仕事から「逃げていた、けれど目を合わさざるを得なくなってしまった」んだと思う。

自分のやりたい仕事の形はなんとなくずっと見えていた。
でもES書いて、面接受けて……という方向に進んでも、きっとそれは手に入らないものなんだと分かっていたし、それが怖くて逃げた。

いわゆる就活ルートは、歩くには決して快適な道ではないけれど、数えきれないくらいの足跡で地ならしされて進むべき方向がくっきりと刻まれている。

でも私が行きたいと思っている方向へ進むには、見通しも悪い中、草をかき分けて体当たりで進まないといけない。ズボンに見たこともない植物の種とかがいっぱいついちゃうかもしれないし、大きめのアリに脚を嚙まれたりするかもしれない。

そして何より恐ろしいのは、自分の前にこの道を進んだ人たちがどこへ消えていったのか、全く見晴らせないところだった。

だからめちゃくちゃ自分に屁理屈をこねて、重い足を引きずって見晴らしのいい道を進んだ。不条理なことが起きて自分がぐずり始めても、

「今はそういう時期だから仕方ないじゃん」
「もうちょっと進まないとどうにもならないから、ちょっと黙っててほしい」

と往復ビンタをしながら進み、なんとか開けたところに出た。

経験だ、訓練だ、鍛錬だ、と毎日頭の中でつぶやきながら、起床し、出社して、帰宅して、休日にビールを飲み、すぐに朝がやってくる。


そうこうしているうちに段々様子がおかしくなってきた。
朝、デスクに座ると、得体の知れない真っ黒な気持ちが満ちてきて、心の真ん中がものすごく退行する。自分のことを無条件で受け入れてくれる人たちのいる場所(概念)に帰りたいという気持ちで満ち満ちていく。もうこの頃には自分が突然泣き出しても、全く動揺しなくなっていた。

あれこの感じ、中学で苛めを受けてた時とそっくり。

そう気付いた時、初めて会社を辞めようと思った。

それと同時期に、とても運良くずっとやってみたかった仕事の求人を見つけた。
正直それどころじゃないくらい調子悪かったけれど、もういっそ草むらの中で行き倒れることになってもいいから踏み出したかった。
周囲の力をめちゃくちゃ借り、なんとか選考を受けた。元から私は、そういう道しか歩めない人間だったんだろうなとこの頃気付いた。

誤解のないように一応書いておくと、一度就活をしたことは全く後悔していない。
私の調子が乱れたのは自分の気持ちをないがしろにし続けたからであり、一緒に働いていた人たちに全く非はない。
特に同期は不思議に思うくらいいい奴で、本当に助けられた(これからも一緒に飲みに行ってもらえるらしい。ありがたい!!!!!)

だからこそこういう選択をしたことに対して申し訳なさもあるけれど、遅かれ早かれ私が急に病めるか辞めるかのどっちかだったと思うので、早めに決断して良かったと思うことにしている。
これ以上進んでいたら「辞めます」と言ってから2か月働くのは多分、無理だった。

私の選択を「甘え」と言う人もいると思う。
ただ私は昔からずっと何かに甘えるのが下手だったので、これはむしろ進歩なのかもしれない。

意見が違ったとしても、みんなみんな何かに上手く甘えながら生きていってほしい。そんなことを思う、2023年正月の午後です。

往復ビンタの腫れ跡に湿布を張りながら、活発なリハビリのごとく進む1年にしていくぞ!

今年もどうぞよろしくお願いしますね!!!!!!

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