2022年ドラマ振り返り座談会~ドラマ好きが『初恋の悪魔』を語り尽くし!~

kikusukuでは、2022年の年末、一年間のドラマを振り返る座談会を行いました!その模様を【前編/後編/特別編】にてお届けしています!(記事は下記より)

2022年ドラマ振り返り座談会!【前編】2022冬・春(1~3月・4~6月期)ドラマ

2022年に放送された連ドラを勝手に振り返る座談会を実施。【前編】は2022冬・春(1~3月・4~6月期)ドラマを取り上げます。

2022年ドラマ振り返り座談会!【後編】2022夏・秋(7~9月・10~12月期)ドラマ

2022年ドラマ振り返り座談会!【後編】では、2022夏・秋(7~9月・10~12月期)ドラマを中心にお届けします。

2022年ドラマ振り返り座談会!【特別編】 | 掬 -kikusuku-(きくすく)

2022年ドラマ振り返り座談会【特別編】では、座談会が盛り上がりすぎて、どうしても入りきらなかったトークを、作品ごとに抜粋してお届け!

今回の記事では、座談会で盛り上がりすぎてしまった『初恋の悪魔』についてのトークをまとめてお届けします!

 
 《座談会メンバー》

ひなた

小学生の頃から、深夜枠のドラマまで一通り情報を把握するのが習慣。未視聴ドラマの録画が永遠に溜まっています。

菅藤絢乃

新ドラマの初回放送日を一気に調べてスケジュール帳に書き込む時の幸せは、何物にも代え難い!基本的にリアタイしたい派なので、生活はドラマの放送時間を軸にまわっています。



最後まで観続けて辿り着く「別次元」

菅藤:最初の頃は探り探りだったんだよね。面白いのはもちろんだけど、どうやって見ていけばいいんだろうって結構戸惑いも強くて。それが中盤からどんどん縒り合わさっていった時「別次元じゃん」って。だからハマり方の初速としては遅めの方で、ハマってからの深さがとんでもなかった印象です。

ひなた:なんか「こういうジャンルの作品」って言えないドラマでしたね。脚本の坂元裕二さんって、色んなTV局でドラマやってるじゃないですか。『大豆田とわ子と三人の元夫(編集部註:カンテレ制作)はすごくフジ系列っぽいドラマだったし、『カルテット』はTBSっぽさがあったなあと思っていて。それで言うと『初恋の悪魔』はめちゃくちゃ日テレ感もありつつ、新しいタイプだったなと。

菅藤:確かにそうかも。でも蓋を開けてみてどんどん進んでいったら、『カルテット』っぽい洒落さはありつつ、静けさと緊張感と安らぎのバランスが絶妙で、「ああ、これはもう、日テレの『mother』チームだ」って。いやあ、贅沢だったよね、これ無料で観れていいの?ってずっと思ってたもん。

ひなた:ほんと、贅沢でしたよね。最後まで観続けた人だけに分かる感覚がある!

「まだ出会っていない人とももう出会ってる感じ」

菅藤:坂元さんって、過去、未来、現在っていうのが一挙に今ここにあるというのをずっと書いてこられた方だと、私は思っています。例えば星砂(演:松岡茉優)も、今目の前にはいなくとも、過去の星砂は実体としてじゃなくても確実にそこにいる、と描かれる。表現として新しいことに挑戦されながらも、根底にあるものは変わっていないような気がして。最終話の公園のシーンとかは、今まで11話かけてやってきたことを言語化したような印象だった。

ひなた:公園のシーン、めちゃくちゃ泣いたなあ。星砂、演じ分けで全然違う人って分かるのももちろんすごいんだけど、その人格たちが微妙に溶け合ってもいるというか。特に終盤へ行くに連れて、徐々に人格が混ざり合ってもいるような気もしたし、明確に描写されてたのは2人だったけど、それ以外にも何人か人格いるのかもなって感じもして。凄まじかったな。

菅藤:うんうん。まだ出会っていない人とももう出会ってる感じというか...…坂元さんがずっと描いてこられたのは、すべてが混ざり合うところに向かうことで光が差し込んでくるような瞬間なのではないかなぁと、勝手に思っていて。今回もそれを感じました。

ひなた:森園さん(演:安田顕)とか、最初ヤバいと思ってた人の芯はまともだったり、逆に所長(演:伊藤英明)とか、最初はまともそうに見えてた人がかなりヤバい人だったり、そういう反転を繰り返してるようなドラマだった気がする。鹿浜(演:林遣都)なんてまさにそうで、最後は誰よりも純粋で純真に見えてきて。

菅藤:鹿浜が仲良くしてたおばあちゃんとかね。

ひなた:うわー、ほんとにそうですね。そういう先入観・思い込みをガッと揺さぶってくる作品だったなと。

『初恋の悪魔』の悪魔というタイトルに込められた意味とは?

ひなた:究極の三角?四角?関係でしたよね。鹿浜にとっては初めてできた友達と、同じ人だけど違う人を好きになっちゃう、って。

菅藤:そうだね~。星砂が悠日(演:仲野太賀)の家に手紙を置いて行ったところ、すっごい泣いたの覚えてる。

ひなた:私はもう、全編通して鹿浜が可哀想すぎるなって(笑)でもなんか、そのしんどさも含めて「もう一回色んなものに出会える人生と、出会わない人生のどっちがいい?」って聞いたら、きっと彼は(色んなものに)出会う人生の方を選ぶんじゃないかな。

菅藤:そうだね。「人生やり直しスイッチ」(編集部註:『カルテット』より押すか押さないかって言ったら押さないだろうね。

ひなた:そうそう。この作品にはタイトル通り色んな”初恋”がありましたよね。「恋」って言われると、いわゆる恋愛ドラマ的な恋を思い浮かべるけど、それだけじゃなくて。所長と朝陽さん(演:毎熊克哉)の関係もだし、なんなら親子みたいな関係もそうかもしれないけど、ある種人を狂わせたり、すごく苦しめたりするような感情・関係性には「恋」って言葉がしっくり来るというか。もっと言えば「初恋」特有のものなのかもしれない。

菅藤:なんか「恋愛」と「恋」ってまた違うかもしれないね。個人的には、坂元さんはずっと「恋」を描かれる人だと思っていて...…それはいわゆる「恋愛」とはまたちょっと違うかもしれない。人生を照らしていけるものというか、確かさみたいなところが「恋」って響きに託されているような気がする。

ひなた:改めて、すごいタイトルだったなって思う。『持続可能な恋ですか?―父と娘の結婚行進曲―』の林太郎さん(演:松重豊)に聞いてみたいですね、辞書で「恋」と「恋愛」はどう違いますか?って(笑)〈了〉

()……坂元裕二作品『カルテット』より、高橋一生演じる家森が「僕はね、もう押しません」と言った「人生やり直しスイッチ」にかけて。


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2023年も、素敵なドラマライフを!!

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異国情緒、私の風景

ライター:菅藤絢乃
 この皮膚のどこを切り出したら、あなたに私のことを紹介できるだろうか。
 私に宿る数多の手触り、境目のない体温からまずどれかひとつを選び取って初対面のあなたに手渡さなければならない、その瞬間にいつまで経っても緊張する。緩やかに繋いで‥‥‥

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