朝ドラ『らんまん』感想レビュー:第3週『ジョウロウホトトギス』〜あなたの声が聞きたくて〜

第3週『ジョウロウホトトギス』(4月17日~21日放送)

ときめきポイントde振り返る1週間!

ついに大人キャストが登場!主人公・万太郎を演じるのは、国民的俳優の神木隆之介さん。万太郎の持つ並外れた植物への情熱、それゆえの自由奔放さ、その一方で垣間見えるのは、余りにも酒屋の当主に適さない自分へのやるせなさ、苦しみ、憤り。植物に向ける輝くような笑顔からふと零れる翳った表情まで、万太郎の多面性を存分に魅せてくれる流石のお芝居です!

◆ヒロイン寿恵子を演じる浜辺美波さんも登場!万太郎との衝撃的な出会いにも臆しない様子や、溌剌と店先に立つ姿、そして万太郎にお土産を渡しに来る時の、どこかいたずらっ子のような笑み。好奇心旺盛で、どんな物事も楽しむ力を持っていそうな、まさに「らんまん」な彼女の登場に私たちの心も躍ります!

◆子どもの頃からずっと酒造りに心惹かれてきた(演:佐久間由衣)。幸吉(演:笠松将)にリアルな酒造りの工程を教えてもらったり、新酒作りに励んだり、その生き生きとした様子は植物にまっすぐな万太郎と重なります。祖母・タキ(演:松坂慶子)に新酒を差し出す姿はカッコ良かった!

◆タキに新酒を受け入れてもらえず、傷心の綾に幸吉は「(新酒づくりは)面白かったですねと声をかけます。結果ではなく過程の楽しさを大事に思い、綾を優しくフォローする幸吉に胸キュン!かんざしを渡すタイミングもニクい!!

◆そんな綾に密かな恋心を抱く竹雄(演:志尊淳)。綾を見つめる、その表情の切ないこと!ずっと綾を見てきたからこそ、綾が峰屋を抜け出し向かう先も分かるのが愛ですね。

◆番頭の息子として複雑な感情を抱える竹雄は、万太郎にも振り回されっぱなし!でも、万太郎と竹雄のわちゃわちゃは観ていて楽しいですね......神木隆之介×志尊淳の可愛さ......これが萌え......牛鍋美味しくて良かったね......。

◆東京で過ごす最終日。竹雄の「当主としての万太郎」に仕える自分「万太郎個人のことを大事に大事に思い心配している」気持ちの両面で板挟みになっている心情が吐露されます。高知から遠く離れた東京という地だったからこそ、竹雄の本音が爆発したのかもしれません。竹雄〜〜〜〜〜!君は本当によく頑張っているよ〜〜〜〜〜!(誰)

◆東京にて、万太郎が心の友との対面を果たしたことも忘れてはいけないポイント!万太郎がずっと一方的に憧れていた野口先生(演:田辺誠一)から「友よ!」という言葉が出たその瞬間の喜び、心の震え!目をキラキラさせながら植物分類学について説明する野口先生も、大事にそうにサボテンを抱える里中先生(演:いとうせいこう)も可愛かった!

第3週レビュー:〜「あなたの声が聞きたくて」〜

東京。佐川から高知まで歩き、蒸気船で神戸へ。神戸から汽車で京都へ。京都から歩いて琵琶湖を越え四日市。そこから蒸気船に乗り横浜。汽車に乗って、東京。

現代の感覚では信じられないような移動の先に辿り着く“東京”は、まさに異国のようだったことだろう。万太郎はそこで沢山の出会いを果たす。
様々な地酒、かる焼き、牛鍋、植物標本、顕微鏡、植物分類学という学問、ずっと憧れていた心の友たち、初めての一目惚れ……。
一歩を踏み出した先には、出会いが待っている。自分の世界を広げてくれるような出会いが。

「東京にはあんな大人らがおるがじゃのう。今初めて生まれたような気分じゃ。」(万太郎)

植物について日夜研究を重ねている大人たちとの出会いは、万太郎にとってどれほど喜ばしいものだっただろうか。

植物への興味関心を誰とも分かち合えず、「草好き」と噂されるだけの環境で育った万太郎。彼にとって「植物分類学」という学問は “金色の道” そのものとして光り輝いて見えたに違いない。

「麹とはどういうもんですろうか」(綾)

一方、広い世界へと足を踏み出したのは万太郎だけではない。酒造りへの強い興味を持つ綾もまた、蔵人・幸吉の力を借りて大きな一歩を踏み出す。

「試して、試して、美味い酒ができたら面白いですき。」(幸吉)

綾の酒造りに対する気持ちを初めて理解してくれた幸吉。そんな”心の友”に出会えた綾の生きる世界もまた、確実に広がり始めている。

しかし、世界は広がっても、帰る場所が変わるわけではない。
万太郎は竹雄に、綾は祖母・タキに「変わらないこと」を突きつけられる。万太郎は下戸でも酒屋の当主で、綾はどんなに焦がれても酒蔵に入ることを許されない。

家族、立場、性別、体質、興味、恋心。

生まれ育った環境も、湧き上がってくる気持ちも、きっと自力でコントロールできるものではないだろう。「周りから求められるもの」と「自分が求めるもの」が一致しないことも少なくはない。どんなに心惹かれる物や人に出会っても、諦めざるを得ない時だってある。

しかし、ドラマの中くらい、毎朝を彩ってくれる朝ドラくらい、自分の心が欲するままに生きている姿を観たいではないか。

「(草木は)この世に一つとして同じもんがない。何か理由があって、こうして生まれてきたがじゃろう?なあ。......ならわしも、わしでええがのう......?」(万太郎)

この世に同じ植物は一つとしてないように、この世に同じ人間は一人としていない。ならば、自分の「好き」や「得意」を大事にして生きることをどうして諦められようか。

万太郎はいつも、自分の身体や心の声に正直だ。いや、彼だけではない。植物の声が聞きたくて、麹の声が聞きたくて、想い人の声が聞きたくて、”カエル”の声が聞きたくて、人は一歩を踏み出したり、ためらったりする。

竹雄は、あの美しい櫛を買ったのだろうか。


第3週「ジョウロウホトトギス」花言葉は「あなたの声が聞きたくて」
その花弁は下向きに大きく垂れ下がり、まるで人々の声に耳を澄ませるようだ。

「あなたの声が聞きたい」と願う、私たちの心の声に。


ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

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