『らんまん』園子の名演技!「菌」の存在・「ヒメスミレ」の花言葉から読み解く第18週レビュー

第18週『ヒメスミレ』(7月31日~8月4日放送)

第18週レビュー 〜天高くまで届くように生きる〜

空高く昇る煙。雲にかかり、天まで届くよう。その煙を見上げる万太郎(演:神木隆之介)寿恵子(演:浜辺美波)

「どうか、園ちゃんに……」(万太郎)

昨日まで隣で地面を踏みしめ、そこに生きていた命は、もういない。約2年、たくさんの愛をもらいながら育った命だった。

一方、時代を越えて受け継がれてきた「峰の月」も火落ちにより腐ってしまう。それにより峰屋の命も終わりを迎えた。

命とは、時にあっけなく、唐突に、あっという間に終わる。人の力では抗うことのできない、どうしようもない出来事が、人生には度々起こる。

麻疹の発症も酒が腐ってしまうのも、その原因は「菌」だ。しかし、綾(演:佐久間由衣)寅松(演:鳴尾康史)らは自分を責める。おそらく万太郎と寿恵子も「自分に何かできなかったのだろうか」という思いが幾度となく頭をよぎったことだろう。

では「菌」を憎めば良いのか。「運命」を呪えば良いのか。

思い出すのは波多野(演:前原滉)の研究テーマだ。「見えないものを見たい」という彼の研究対象には、まさしく「菌」も含まれるだろう。万太郎の愛する植物は「見えないもの」の力によって生きている。それは植物だけではない。人間の身体は、細胞や菌といった私たちの肉眼では見えないものによって生かされ、そもそも酒は菌の力によって「発酵」することで生まれる。

命とは、見えないものによって、私たちにはコントロールできないものによって成り立っている。菌がいるから、見えないものが働いてくれているから、私たちは今日も生きることができるのだ。

では、大切なものを喪った時、この命を「生かされている」私たちは、無力な私たちは、一体どうすれば良いのだろうか。

「そうじゃ。まだ終わっちゃあせん。わしらの役目はこれからじゃ」(竹雄)

時は止まってはくれない。竹雄(演:志尊淳)は資金集めのために奔走し、まつ(演:牧瀬里穂)は寿恵子たちの元へ駆けつけ、ご飯を作る。長屋の面々はみんなで食卓を囲む。分家の三人は、綾と竹雄に対して彼らにできる最大の労いをする。

綾は、寿恵子は、泣き続ける。万太郎は、絵を描く。園子の花を描く。

それぞれのやり方でその喪失を悼むこと。痛みに寄り添うこと。今日を、これからを生きていくために動くこと。

それぞれのペースは違ったとしても、時は流れ続けているのだ。

現代では麻疹(はしか)のワクチンが開発されたり、酒の腐造を防ぐ方法が研究されたりした結果、命を落とす事例は大幅に減っているという。時に痛みを抱えながら「見えないもの」に向き合い続けた歴史が、誰かの命を救い、誰かの笑顔をつくっている。

ヒメスミレの花言葉は「ささやかな幸せ」「ひそかな愛」

今ある幸せを、目の前の愛する人や物を大切に大切にすることが「これから」を生きる人に託された全てではないか。

そうやって今ある命を懸命に生き抜く姿は、きっと煙のように天高くまで届くはずだ。

レビューあと書き

先週の金曜日「ああ〜今週の終わりツラい……早く来週にならないかな……」と思っていた私がバカでした。
第17週、ますますツラい!!!!!受け止めきれないよ、こんなの……。残された万太郎&寿恵子、綾&竹雄がそれぞれどんな道を歩んでいくのか、全く予想ができずハラハラしています。(予告編は見ない派)
まずは東京で4人が再会するのでしょうか?4人が心の底から笑い合える日が早く来ますようにと願いながら、園ちゃんと峰屋に思いを馳せたいと思います。

細かすぎる!?「らんまん」なときめきポイント

園ちゃんがどの場面においても名演技すぎませんでしたか!?!?もっと観ていたかったよ……園ちゃん、ありがとう……

竹雄から「ズギャン!」を聴くことになろうとは!

・分家のみなさん、綾と竹雄の頑張りや悔しさを分かってくれて、最大限寄り添いながら、できないことはできないとはっきり示す姿、染みました。お三方もどうかご達者で……!

「寿限無」は、子どもが元気に長生きするような名前を付けたいというお話なのだそう。この第18週にそれを持ってくるなんて……切なすぎる……。

・東京と高知を繋いでいた「ヒメスミレ」
先週から登場していましたが、毎回本数や萎れ具合など、細かく作り込まれていてこだわりを感じます!スミレを見る度に、園ちゃんのことを思い出しそうです。それもまた、供養の一つなのだと思います。


ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

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