【#いまコロナ禍の大学生は語る コラボ企画 vol.4】座談会 後編
大学生活のどこかでコロナ禍を経験した人たちがこれまでを振り返り、noteを投稿する外部プロジェクト「#いまコロナ禍の大学生は語る」とのコラボ企画第4弾、最終回です!
コロナ禍で意外と大変だったのが、サークル活動などの組織運営。
当時のルールや心境を振り返ってみると......
《#いまコロナ禍の大学生は語る》
哲学や教育の観点から『居場所』などのテーマを探究する大学4年生。「#いまコロナ禍の大学生は語る」プロジェクトの発起人。
主に歴史学を専攻している大学3年生。もんどからの声掛けで同プロジェクトの運営に参画。
《kikusuku》
映像身体学科からそのまま大学院へ進学し、修士2年生。kikusuku編集長。
プロジェクトに寄せたnote:「モラトリアム in コロナ禍」
4人の中で一番ストレートに新卒会社員として就職し、2年目を迎えた社会人。kikusukuライター。
プロジェクトに寄せたnote:「私にとってのCOVID-19」「ヤングケアラーにとってのコロナ禍①」
今年から転職&フリーランスになった社会人2年目。kikusukuライター。もんどとは大学時代、NPOのインターンで一緒に活動していた。
プロジェクトに寄せたnote:「2020年のよろこびと、それを見ようとしない私」
<目次>
・サークルとコロナ禍
・「そういう決まりだから......」
・大きな渦中の小さな私たち
サークルとコロナ禍
捺稀:私は情報系の学部で、元々オンラインが浸透していたから、完全オンラインへの移行が凄く早かったの。
ただ、それでも課題だったのはサークル活動。私は演劇サークルに立ち上げ時からいたから、どうにか続けたくて……。
コロナ禍だからって活動をやめるのはおかしいよねってなって、音声劇みたいな新入生歓迎動画を作った。学祭もオンラインで開催したし、コロナによって変わったことはあるけど、むしろやりたかったことが加速しただけって感じてる人もうちの学部は多いかもしれない。
あと、コロナの時にすごく思ったのは、通信技術がもっと進んで匂いとか感触とか空気とかそういうものも全部送受信できる世界にならない限り、どんなに頑張ってもバーチャルはリアルには勝てないってこと。
リアルとその実際の空間に人が集まるという事はどうしても切っても切り離せないんだなっていうのはすごい考えた期間ではあったかな。
鹿の子:私は映像制作のサークルで代表をやってた時、いろんな事情で2個下の代に引き継ぎをすることになって。
2個下は2020年に入学してオフラインのサークルを知らないのに、自分たちはなんて大罪を犯してるんだと思いながらも、正直もう運営がキツすぎて精神的にも余裕がなかったから半ば投げやりに全部その子たちに引き継ぎして。
でもいざ引き継いでみたらコロナ禍も落ち着いてすぐに最高の合宿もやってて、大学生活って意外と再現性があるというか、そのぐらいの年頃の人たちが集まってきてある程度の枠が決まっていれば意外とできてしまうものなのかなとかって思ったりしたんだけど、その辺もんどやはくちゃんはどう感じるんだろうか。
もんど:2個下(2022年入学の学年)、楽しそうですよね。
鹿の子:やっぱりそういう感じがするんだ。
もんど:そこから下の学年は新歓があり、入学式はできて......僕は1個下が入学式できたのも羨ましく思ってましたけどね。僕の入学式は1個下の入学式より遅いですから。2年生の時に「入学おめでとう」って言われて、今まで歓迎されてなかったんだって(笑)
ここまで来たなら別にやらなくていいのに、と僕は思ってました。人にもよるんでしょうけど、僕はそういうの別に得意じゃないので、自分の代はこれで良かったなってちょっと思ってもいます。
ただ後輩たちが合宿とかで集まって楽しそうにしてる場を見ると、なんかすごいおじいちゃんみたいな気持ちで「こんな日が来たか、ついに」って感慨深くて、喋らずに眺めてるとかめっちゃあります。
鹿の子:もんどの代もおじいちゃんになるんですね。
もんど:みんなが集まってご飯食べてちょっとお酒飲んでるところを見て、なんか いいなって素敵だなって眺めてるだけの人ですね。そういう日が来たのがそれはそれで嬉しいなと思って眺めているんです。それが最近の様子ですね。
サークルの引き継ぎの話は、僕のもう1個の関心事ではあって。僕は大学生活の前半で、共同代表として自分のやっていた学生団体を引き継いだんですね。その団体を畳むか畳まないかって話を3回くらいして。最終的に畳んだんですよ。
その結構悲惨な状況を僕は1年生から2年生の間で目の当たりにして。だから、3年目に所属していた別の団体の人たちが合宿でにこやかにしてるのを見てすごい微笑ましい気持ちだった。
それで、学生団体みたいなものがどう続いていくのかとか運営されていくのかに関心があって。それはそれでなんか今年ちょっと形にできるといいな と思って最近友達とよく話してるんです。
自分のいる団体に愛着があるからそうなるし、それが下にとって重荷になることもあるし、実際上がいなくなると「なんでいなくなるんだよ先輩」って思われることもあるし。
はくちゃん:ぼくも一応、曲がりなりにも学生団体のプロジェクトリーダーとかやってたので考えてたんですけど、ぼくが所属していたのが基本的に全部、属人的な組織だったんです。
どうにも、結局人だよなっていうところに落ち着いてしまいますね。良くも悪くも。
一緒にするのは恐縮ですけど、ぼく、高校の野球部でデータの分析をしてたんです。動画を見て相手の癖がどうで、とか。今はデータ野球みたいなことする時代なので。でも、そういう分析をぼくがいなくなった後できるのか、できなくなったらそれはめちゃめちゃ嫌だな、と当時の日記に書いてありましたね。
「そういう決まりだから......」
はくちゃん:あと、自分は「前例がないからダメです」みたいな無思考がだいぶ嫌いなんだなって思って。
これは別にマスクをつけるかつけないかの話では全くないんですけど、子供たちはどんな時でもマスクをしろと教え込まれていて、ずっとマスクをしている。
対して大人はご飯食べる時だけマスクを外して、そこでは喋るのに、ご飯を食べ終わって喋らなくなったらマスクをして、しゃべらないで帰る。そういうのを見て「何をしてるんだ、この人たちは」みたいなことをよく思っていました。
別に誰かを攻撃したいと思って言ってるわけではないんですけど、突き詰めて考えた時にそこに何の意味があるんだろう、みたいなところをよく考える大学生活だったなと。
鹿の子 : それこそサークルの活動でも「◯人以内でそれぞれの距離が1m以上開いていればやってもいいです」みたいなルールもあったよね。
ひなた : 私、距離取りながら演劇作ったよ。メジャーでちゃんと2メートル取って。これ以上近づかない演出にしようって言って。
捺稀 : 学祭のために実行委員会で自作した体温を記録するシステムの使い勝手が悪くて、その時に「そもそもこれ何で作ったんだっけ」って後輩たちが揉めてたのを思い出した。
他にも、大学で濃厚接触者の確認をするための検問に長蛇の列ができて密になっちゃうとか、手段と目的が逆になっちゃって、形骸化してるなと思ってたな。
最後に:大きな渦中の小さな私たち
鹿の子:ミクロな私たちの生活の細々としたところと、世の中でマクロで起きてた事って、こうやって話すと全然文脈違うよね。とても同じテーマで話してるとは思えない感じというか。その異質さをとても感じました。
新たにこの企画に参加してnoteを書く人が増えていくに連れて、ミクロな視点も増えてくるのだと思う。この座談会記事を読んでくれた人も「そういえば私はこうだったな」とか、もし思いついたら書いてくれるといいよね。
もんど:マクロの話で言うと、最後にこのコロナのイベントが始まった一番原点について話したくて。そもそもなぜ僕がこんなにコロナ禍という出来事に関心を持っているのか。
僕は高3のころ歴史がめちゃめちゃ好きで。はくちゃんの話に近づいてきますね。
「歴史って役に立たないよね」って周りからよく言われていたけれど、僕は「いやそうじゃない」って当時思っていて。「歴史って危機において役に立つんだ」と。そして大学に入ったらコロナ禍、社会が危機に陥ったんですよね。そして僕は落胆したんですよ。歴史が全然役に立っていないから。でも、意外とコロナ禍のことを考える大学の先生もいて。自分もちゃんと向き合わなきゃいけないと思いました。戦争の経験を受けて出てきた学者たちが、その経験をもとに語っているように、自分のこれからの学問は全部コロナ禍に影響付けられた学問になるとまで覚悟して、学生の学問を始めたんですよ。その思いは多分今も変わっていない。もし僕が大学生の間に東日本大震災があったら、僕はその影響を受けたと思うし。そういう感じでコロナ禍のことを考え始めて、今こうやって活動に繋がっています。
あとすごく些細なミクロの話もしたいんですけど......。
ミワ:ぜひ!!!
もんど:僕は結構 肌荒れがひどくて。中学時代からニキビが多かったんですよ。大学生になって、ニキビ直そうかという気持ちが芽生えた時も1〜2回あったんですけど、マスクによる肌荒れなら肌治そうとしても無理だし、そもそもマスクでニキビは見えないし。
それで、治そうとしても結局治さないのが1~3年の間ずっと続いていて。でも、ここ1ヶ月で急に治ったんですよ。
なぜかというと、マスクが外せることになって、この1ヶ月半、皮膚科通って揚げ物と甘いもの食べないことにして、漢方を毎日18錠飲んで、結構本気出したんです。
ミワ:本気だ......。
もんど:そこまでしたきっかけの一つは「マスクを外していいならやってみようか」だったんですよね。マスクを外せるなんて、当然1年前では考えられなかったことで。「ニキビが減った」っていうどうでもいい出来事は、僕にとってコロナ禍なしでは語れない出来事でもある。
日常のミクロにコロナ禍が染み込んでいるし、僕の学問や社会の学問というようなマクロにも染み込んでいて、だから僕の大学生活ってコロナ禍なしで語れないんだなと。
ひなた:それこそkikusuku自体も コロナ禍でオンラインが主流になったり、それぞれ離れた場所に行ってもつながっていられる方法みたいなところをずっと考えたり、そんな中で出てきた形でもあるので、そういう意味でも今回すごく素敵なコラボ企画になったんじゃないかな。
もっと色んなことやっていけたら楽しいだろうなとも思います!まずは二人に是非ともきくすくで記事を書いてもらいましょう!(笑)