神木隆之介×宮野真守の熱演に涙!朝ドラ『らんまん』感想レビュー:第5週『キツネノカミソリ』

第5週『キツネノカミソリ』(5月1日~5日放送)

ときめきポイントde振り返る1週間!

◆高知・佐川編クライマックスの第5週は神回連発でした!!確かな実力を持つキャスト陣への信頼が伝わってくる大胆で繊細な脚本、それに応えるような熱演に何度も涙……。

早川逸馬(演:宮野真守)の拷問シーンは、朝ドラ、いやドラマ史に残る名シーンではないでしょうか。文字通り命を懸けて万太郎(演:神木隆之介)を守った逸馬。宮野真守さんの鬼気迫るお芝居、それを繊細に受ける神木隆之介さん。言葉の裏で蠢き、交わされる二人の想い。凄まじい場面でした。

タキ(演:松坂慶子)に植物学の道へ進むことを伝える万太郎。万太郎のまっすぐな言葉、目の輝きが、彼が愛されて育ってきたことを何よりも雄弁に物語ります。タキの、孫の幸せを願う気持ち、心配、峰屋を支えてきた自分としての気持ち、寂しさ、成長への喜び……。たくさんの想いが複雑に絡まり合った心情が、繊細に伝わってくる第5週でした。

竹雄(演:志尊淳)ーーーーーーーー!ついに綾(演:佐久間由衣)への想いを伝えました。遠く離れるからこそ想いを伝えられたのは切ないですが、櫛を渡すことができて良かった!誰に頼まれたわけでも、流れに身を任せたわけでもなく、自分で「一番大変な道」を選んだ竹雄の、晴れやかな表情が印象的でした。

『らんまん』の素晴らしい所は、一人ひとりの登場人物たちがちゃんと生きているところ。牢屋を出ていく万太郎に罵声を浴びせる者もいれば、早く行けと言わんばかりに目配せする者もいる。綾に笑顔で頭を下げる分家の息子・伸治(演:坂口涼太郎)。竹雄の旅立ちを見守る両親の顔。それぞれの人生を感じます。

◆ついに峰屋を旅立った万太郎と竹雄。見送りの声援、その温かさと言ったら!峰屋みんなの愛を感じますね。さて、来週からは東京編!どんな物語を見せてくれるのか、本当に楽しみです!!!

第5週レビュー 〜自由を選ぶという覚悟〜

「何かを選ぶことは、何かを捨てることじゃ」(タキ)

激動の第5週だった。何を選び、何を捨てるのか。万太郎・綾・竹雄が決断する一週間だった。

「自由」とは、甘味どころか苦味だらけの産物だ。

第5週は、自由民権運動の集会が検挙されるという、まさかの展開で幕を開ける。その逮捕や拷問は理不尽極まりないものであり、逮捕された彼らの行く末を思うと心が痛む。

しかし、万太郎は逸馬やタキ、峰屋のおかげで釈放される。自分一人だけ助かったことを申し訳なく感じ、落ち込む万太郎。そんな彼にタキがかけたのが、冒頭に記した言葉である。

人は、全てを手に入れることはできない。

「今日のご飯は何にしよう」「どの会社の面接を受けよう」

人は無数の選択をして、その度に「選ぶことができた何か」を捨てている。

万太郎は峰屋の当主を務めながら植物学を極めることはできないし、綾は峰屋や酒造りを捨てることができなかった結果、縁談を捨ててきた。

しかし、何かを選ぶことは怖い。今持っている何かを捨てることは怖いから。
竹雄が綾への恋心を中々伝えられなかったのは(もちろん奉公人という立場はあるが)今までの関係性が変わってしまうことを恐れる気持ちもあったからではないか。今ある関係を捨ててまで、気持ちを伝えることを選ぶ。その一歩が踏み出せなかったのだ。

「わし……何もないのう……」(竹雄)

万太郎と共に東京へ出るか、峰屋に残るのか。竹雄は、突如与えられた「自由」に困惑する。否応なしに、自分の持っているもの、自分の気持ちと向き合わされる竹雄。彼から見れば、植物学や酒造りなど、揺らぎなく自分の好きなこと・やりたいことを持つ万太郎と綾は眩しく映るだろう。選ぶことができるという自由もまた、苦味と共にあるのだ。

「お二人に負けんよう、わしにとって一番大変な道を選びましたき」(竹雄)

竹雄は、二人の選んだ道を「一番大変な道」と評する。

峰屋の当主としての安定を捨て、植物学へと進む万太郎。「女性は穢れている」とされる酒造りの世界へと踏み出す綾。
その道は、二人が自ら望み、欲し、選び取った「自由の道」だ。そして竹雄もまた「自由」に、一番大変な道を選択する。

自由という、最も大変な道を行く。その覚悟を決めた三人の表情は凛々しく眩しい。変わりゆく時代の中で「自由」を選んだ三人が、これからどのような道を進んでいくのか。

さあ、第二章の幕開けである。


ひなた

kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。

-back number-

神木隆之介主演・朝ドラ『らんまん』感想レビュー|第4週『ササユリ』〜自由ゆうがは何じゃ?〜

逸馬(演:宮野真守)が高らかに自由を叫ぶ!万太郎(演:神木隆之介)、綾(演:佐久間由衣)、竹雄(演:志尊淳)の葛藤が胸に迫る『らんまん』第4週レビュー!

朝ドラ『らんまん』感想レビュー:第3週『ジョウロウホトトギス』〜あなたの声が聞きたくて〜

神木隆之介主演朝ドラ『らんまん』第3週感想レビュー!浜辺美波の溌剌さ、志尊淳の健気さ、佐久間由衣×笠松将に胸キュン!

-recommends‼-

抱負に代えて

ライター::鹿の子

会社を辞めました!と言うと…

アップデート

ライター:こんぶ
この時期になると、テレビやラジオ、雑誌など様々な媒体で「新生活にちなんで——」の言葉と幾度も出会う。昨日はラジオで、今日はYouTubeで耳にした。
そういう季節になったことに気づかされると同時に、

補助線

ライター:ひなた
「春は寂しい季節だね」
以前友人に言われた言葉を、やけにはっきりと覚えている。時間は流れ続け、止まってはくれないということ。変わらないものはないということ。私は時々、無性に寂しくなる。

kikusuku公式SNSでは、サイト更新情報をお知らせ!

kikusuku公式LINE、友だち募集中!

友だち追加
公式LINEでは、おすすめ記事を紹介!

この記事を共有する↓

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください