朝ドラ『らんまん』感想レビュー:第1週『バイカオウレン』〜“枯れない花”が繋ぐ命〜
第1週『バイカオウレン』(4月3日〜8日放送)
ときめきポイントde振り返る1週間!
◆木から飛び降りる天狗ことディーン様!あのカッコよさに惚れない人はいないのでは!?力強い土佐弁、豪快で説得力のある言葉たち。ディーン様の新たな魅力に出会った気がしています!
◆松坂慶子さん演じる祖母・タキの力強さに惚れ惚れ!身近にいたら怖くて萎縮してしまうけれど(笑)、家や家業に関わる皆、その生活を守るために隙なく振る舞うその姿に憧れてしまいます!
◆広末涼子さん演じる母・ヒサの深い愛情が胸に沁みます。子どもたちの前で笑みを絶やさないその姿。「また会おうねえ」の言葉に涙腺崩壊……。
◆森優理斗さん(万太郎役)、太田結乃さん(綾役)、井上涼太さん(竹雄役)三人の熱演に涙、そして可愛さにメロメロです!!「みんなとは違うこと」に苦しむ万太郎、女人禁制の壁に阻まれる綾、万太郎を守ろうと奔走する竹雄、そして、最愛の家族を失う苦しみ。子どもが背負うにはあまりに重い……。ひたむきに生きる3人は、まるで天に向かってまっすぐに伸びていく花のようですね。
第1週レビュー:“枯れない花”が繋ぐ命
「これやったら枯れんね」(ヒサ)
主人公・万太郎(演:森優理斗)は、病状に伏す母・ヒサ(演:広末涼子)のために、彼女が好きな“名もなき花”を半紙に写生し手渡す。
この“枯れない花”こそが、万太郎の原点となっていくのだろう。
命は有限だ。
生きている限り、私たちは別れを、誰かの死を迎えることになる。
それでも共に生きた時間を覚えていることはできるし、絵や言葉などに記録し見える形に残しておくこともできる。
見えているもの。
その背後には、常に見えないものが積み重なっている。見えないものも、見えなくなってしまったものも、誰かの中でその命を輝かせているのだ。
「この世に、同じ命らあひとつもない。みんな、自分の務めをもって生まれてくるがじゃき」
「さあ望みや!おまんは何がしたいがぜ?」(天狗/坂本龍馬)
「死」が決して遠いものではなかった万太郎。彼にとって「何の為に生きるのか」という問いは、それなりの質量を持って胸に飛び込んできたのではないだろうか。
万太郎やヒサは、名前も分からない小さな植物に心惹かれる。どんなに小さくても、踏みつけられても強く生き抜く植物たち。その生き様は、病弱な2人にとってどれほど勇ましく美しいものだっただろう。
そして、ヒサは次の世代へと襷を繋いで行く。それは彼女が咲かせた一つの“花”であり、万太郎ら子どもたちの“根”にもなっていく。
「わしは、この花の名前が知りたい!」(万太郎)
そう高らかに宣言する万太郎は以前より逞しく朗らかで、私たちはその背中にヒサや天狗(演:ディーン・フジオカ)を“見る”。
これからの半年間、私たち視聴者はどれだけ「目には見えないもの」を受け取っていけるのだろうか。まるで植物のように、見る人を笑顔にするような万太郎の人生を、楽しく見守っていきたい。
***
何度熱が出ようと万太郎は走る、走り出す、走り続ける。大事な人のために。為すべき事のために。自分の心が望んだままに。
らんまんに、走れ!万太郎!
〈第2回へ続く〉
☆記事公開は毎週土曜日8:15頃を予定しています
kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。