〜“願い”という特効薬〜朝ドラ「らんまん」感想レビュー【第12週】神木隆之介×浜辺美波×志尊淳が土佐・佐川へ!
第12週『マルバマンネングサ』(6月19日~23日放送)
ときめきポイントde振り返る1週間!
今週、ときめきポイントが多すぎる!!!……というわけで、ざっくり紹介!
◆月曜日!
・万太郎(演:神木隆之介)と寿恵子(演:浜辺美波)の思いが通じ合った月曜日!
・何でも正直に話そうとする万太郎と、それを止めようとする竹雄(演:志尊淳)のわちゃわちゃ!
・大告白に水を差しつつ、ナイスアシストをする丈之助(演:山脇辰哉)!と、いつの間にかオタク大激論を交わす寿恵子!
・告白を覗き見したい長屋の皆さん!!!
◆火曜日!
・「名付けて、八犬伝方式!」
・「おまつって呼んで」まつ(演:牧瀬里穂)と文太(演:池内万作)〜〜〜〜!
・文太の「おまつ」呼びにときめく万太郎&寿恵子ペア!(両手で口を隠す仕草が可愛い)
・“夜通し”八犬伝!
・突如現れる竹雄・洋装ver.!!!
◆水曜日!
・甑倒しの宴会を守り抜こうと闘う、綾(演:佐久間由衣)。綾の姿を見て後に続く峰屋の人々。その姿を見ながら、冷静かつ強く交渉に出る万太郎と竹雄。そして「峰屋は無実だ!」と声を上げる佐川の人々。全ての人の力があって交渉が成功できたこと、胸アツでした。
・座っているだけでも身体は辛いはずなのに、ピシャッと姿勢を正して万太郎と寿恵子さんを出迎えるタキさん(演:松坂慶子)に涙……!
◆木曜日!
・花を生けていないことからタキの体調を察する万太郎
・竹雄にだけは本音を話せる綾
・「わしは、ただの槙野兄弟が好きすぎる井上竹雄じゃ」
・「あなたのことが好きなただの男じゃ!」
・ドスの効いた「酒〜!峰乃月持ってきいや!」(綾)
◆金曜日!
・お久しぶりの狛犬さん、校長先生、バイカオウレン!
・ひと目見てこの花がバイカオウレンだと分かる寿恵子!
・「セドゥム・マキノイ」!!!飛び跳ねて喜ぶ三人が可愛い!万太郎、おめでとう!!!
第12週レビュー 〜「願い」という特効薬〜
一つの節目を迎えようという時、人がそれまで積み重ねてきたものが見えてくる。
「花が日ざしを待つように、水を欲しがるように、わしという命にはあなたが必要ながです!」(万太郎)
万太郎は、植物の命も人の命も等しく慈しみ生きてきた。寿恵子には、自分と一緒になると大変な苦労をかけることも正直に伝えた上で、まっすぐにその思いを告げる。
「私も自分で決めます。(中略)あなたとなら、毎日、今日を生きるだけでひたすら大冒険なんです。私、あなたが好きなんです。」(寿恵子)
自分の好きなものに一直線な万太郎と、好奇心旺盛な寿恵子。寿恵子もまた、万太郎の都合ではなく自分の意思で万太郎と共に大冒険に出ることを決意する。
「大奥様は、これまで峰屋のために尽くしてこられた。ようやく今、自分のための願いをお持ちになったがじゃ!」(鉄寛先生)
一方のタキは、自分の寿命を悟った上で「ひ孫をこの手で抱きたい」と願う。それはタキが他の誰のためでも、峰屋のためでもなく、自分自身のために願ったことだった。
峰屋を守り、孫を育てるという使命を持って生きてきたタキ。自分の意思で大冒険を選んだ万太郎と寿恵子とは、一見正反対のように思える。
しかし、大冒険を選んだのは二人だけではない。
主従関係を越え、一人の男として自らの生きる場所を決めようとしている井上竹雄。これからの峰屋を守ろうと奮闘する綾……。それぞれにとっての大冒険があり、そこには自分の「好き」がある。「好き」のために自分の一生を捧げる覚悟が。
それは、タキが峰屋を守り、綾と万太郎を育ててきたことと何ら変わりないのではないか。
本当に好きで、自分にとって大切で、自分が守りたい・自分が広めたいと願ったもの。大切なもののために生きること。
「命ゆうがは まっこと不思議なもんですき。願いこそが どんな薬よりも効くことがあります。」(鉄寛先生)
自分にとって本当に大切なもののために生きようと、自分の意思で願い、進むこと。時代は変動し続け、人々の価値観が変わっても、人にとっての“金色の道”は変わらない。
そして、その旅路を周りの人々はちゃんと見ている。タキは峰屋のみんなから慕われ、綾が役人に対抗した時には佐川の人々が一丸となって加勢する。万太郎と寿恵子の結婚を皆が祝福し、応援してくれる。
誰かのため・何かのために生きることと、それを自分の願いとして自分のために生きていくことは両立しうるのだ。
そうして“らんまん”に生きる人の背中は、観る者を勇気づけるだろう。
“願い”こそが、どんな病にも打ち勝つ特効薬となりうるのだから。
kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。