万太郎(演:神木隆之介)の持つ「欲望」の正体とは?朝ドラ「らんまん」感想レビュー【第14週】
第14週『ホウライシダ』(7月3日~7日放送)
第14週レビュー 〜ツルハシに添えられた手 〜
「大それた望みながか?わしじゃち……渡しとうない。わしが名付け親になって、おまんのこと 世界に知らせたい」(万太郎)
万太郎(演:神木隆之介)の「大それた望み」とは何か。
ただ植物採集をするだけではない。大学や留学を通し、誰かの元で学ぶことでもない。万太郎は、彼が出会った植物たちの名前を見つけ、時に名付け、その名を世界の人々に届けたいのだ。
「この子はわしが見つけました。わしはこの子が大好きですき。ほんじゃき、誰にも渡せません。寿恵子さんを誰にも渡しとうないというのと同じことです」(万太郎)
万太郎は、植物採集に正装で出かけていく。彼にとって、自ら見つけた植物を他者に発表されるのは、寿恵子(演:浜辺美波)が他の人と結ばれるのと同じことなのだ。
「植物だろう?人間とは違う」(田邊教授)
「突き詰めたらどんな違いがありますろうか?出会うて、ときめいて、知りたいという気持ちが湧いてきて、植物も人間も与えられた場所で懸命に生きちょります」(万太郎)
万太郎は、植物に恋し続けている。それ故の欲望がある。
それは学者としての欲望でも、名誉を求める気持ちでもない。それよりもっと根源的で、本能的で、理性では抗いようのない、相手を求める気持ち。独占したい、幸せにしたい、追い続けていたい。万太郎はいつだって、自分の好きなものに真っ直ぐ進んでいく。
「かれんな花を巡って、人間が争っているね」(里中)
人も植物も、ただそこに在るだけで、欲望の渦に巻き込まれていくのかもしれない。
しかし、だからこそ学問は発展し、人と人の心が通じ合い、思いもしない喜びを生むのだ。
「一人でなくってもいいんでしょ?(中略)まあ、やれるだけやってみましょうよ。やってみたら案外、岩に見えても かるやきかもしれませんよ」(寿恵子)
やってみるまで、その望みが「大それた」ものであるのかどうかは分からない。それが「岩」なのか、あるいは「かるやき」なのか。
しかし、例え岩に穴を開ける必要があったとしても、みんなでツルハシを持つことはできるのだ。
「竹雄さんからの申し送り その2。万太郎さんは笑ってないと力が出ないって。」(寿恵子)
ツルハシに添えられた手に、人は救われ、笑顔になる。力をもらう。
「訪ねていく先があるゆうことも自分の財産じゃき」(佑一郎)
その手が重なり、何倍にもなったパワーは「大それた望み」をも叶えていくだろう。
レビューあと書き
後半パートの幕開けとなった第14週。いよいよ万太郎が植物学者としての道のりを本格的に歩み始めました。
自分の欲望や教授からの誘いに葛藤する万太郎を、時に明るく、時に厳しく、真っ直ぐに支える寿恵子さんが本当に魅力的!竹雄からの申し送りにも愛があって、竹雄ロスを和らげてくれましたよね。
そして、お久しぶりの登場となった佑一郎くん(演:中村蒼)!会った瞬間に昔からの知り合い特有の距離感になるのがリアルで、また二人が同志として互いを大切に思っていることが伝わってきて胸アツでした……!
ここにきて、一気に色々な顔が見えてきたのは田邊教授(演:要潤)。彼が本当に欲しいものは何でしょうか。名誉?成功?安らぎ?シダについて語る教授は、何を思っていたのでしょう。聡子さん(演:中田青渚)との関係にも注目ですね!
細かすぎる!?「らんまん」なときめきポイント
・長屋の皆さんの流行り歌で幕を開けた第13週!後半戦の幕開けという感じがしてワクワク!
・「まんちゃん」「すえちゃん」呼び!!!!!
・枕を抱えて銀座を歩いていた田邊教授……(萌え)
・「仁淀川からミシシッピ川に行くがか!」
佑一郎の肩をがっしり掴む万太郎と、それに応える佑一郎くん。首に手を回している!?!?!?!?
・伊藤孝光(演:落合モトキ)が伝説の本草学者の孫だと知った瞬間の万太郎のリアクションが完全にヲタク!(愛しい) 里中先生も含めた三人のやり取りがかわいらしかったですね。個人的には「おじいちゃん子〜!」という里中先生のリアクションがツボでした!
・朝、植物を観察するかのように寿恵子の寝顔を見つめる万太郎。寿恵子の照れ方もまたヲタク!(愛しい)
似たもの同士の夫婦、今後も楽しみですね!(愛しい)(と言っている私がヲタク!)
kikusuku編集長のひなたです。演劇とテレビドラマと甘いものと寝ることが好き。立教大学大学院 現代心理学研究科・映像身体学専攻・博士前期課程修了。